貧弱な路

2007年8月 JR岩泉線 中里~岩手刈谷


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ぐにゃぐにゃに歪んだ鉄路が森の中に続いている
朝陽に照らされ、静寂の夏の朝
国鉄の香り漂う単行のディーゼルが
ユックリと現れ、
イグゾーストを残し、
森の中に消えて行く

子供のころ
日常にない秘境ローカル線に憧れ
感じたかった旅愁に出会えて
満足だった
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茂市駅

JR岩泉線と山田線の接続駅、茂市。
三陸沿いの宮古から少しずつ山深くなってきて、
いよいよ山田線は山中へ踏み込むところにある。
ここから、閉伊川沿いに進む山田線とは違って、
突然閉伊川から外れ、峠に向かうのが岩泉線。

茂市駅の印象は、「昭和末期の特定地方交通線」を象徴とする佇まい。
線路は貧弱で、駅の屋根も跨線橋も板張りの風情があるもの。
そこに現れる単行のディーゼルの響きを聞いていると、
平成の時代になっても、タイムマシンに乗って昭和を見ているような錯覚に陥る。

まさに、私が幼少の頃眺めていた絵本や鉄道図鑑に載っている、あの風景。
大人になってからも、この風景に実際に出会えると思っていなかった。
それだけ、私にとっては、変に幼少の自分とリンクする、魅力的な風景である。

JR茂市駅 2007年8月


同上 2006年10月 最終の山田線との接続風景
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秘境ローカル線

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2006年10月 JR岩泉線 押角ー岩手大川

木深く、切り立った山の谷底を走る。
風景鉄道写真を撮る方ならよく知る有名な俯瞰撮影場所。
初めて訪れた時は、霧立つ雨の日だった。
単行のディーゼル車は、谷底をくねくねと進み、
この撮影地の下から、トンネルに入り、峠を越える。

廃止の宣告

生き残りをかけて前に進もうとする鉄路がある中、
廃止の方針を固め、いわゆる死の宣告を受けている鉄路もある。
岩手県、龍泉洞で有名な岩泉と茂市という駅を結ぶ「岩泉線」。

2009年の統計によれば、輸送密度は1日あたり46人だったという。
JR全路線の中でも最も利用客が少ない路線である。
2010年夏、土砂崩れで車両が土砂に乗り上げ事故を起こし、それ以来この鉄路に列車は走っていない。

写真は押角峠の中腹にある「押角駅」。
この駅には3度訪れた。
お世辞にも駅とは言い難い、国鉄時代で言うところの「仮乗降場」の雰囲気がある。
迫る山々に飲み込まれるかのように、踏ん張っている駅だった。

1度だけ、きちんと利用している風景に出会った。
2007年8月。
真夏の日差しが照りつけるのに、森の涼みを感じる自然に包まれながら、
日本の奥の奥、まさに秘境を全身で感じた夏だった。

絶望的ではあるけれど、
この風景が戻ってくることを、1鉄道ファンとして希望を持ちたい。



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自然に還る

家でも住まなければ朽ち果ててゆく。
鉄路も同じ。
使われずに自然に飲み込まれていく光景は心が痛む。
いつか元気に鉄路の上が光り輝いている風景になることを祈るばかりだ。

JR東海 名松線 伊勢竹原駅

テーマ : 鉄道写真
ジャンル : 写真

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プロフィール

かすが

Author:かすが
平凡な社会人です。
1980年生まれ。
現在は兵庫県西宮市在住。
生まれつきの鉄道好き。
乗り鉄、切符、模型、写真・・・
幅が再現なく広がってゆき、
現在は 写真 の魅力に。

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