裏方で支えた英雄 DD51-852号機の記録

国鉄時代に649両も製造されたディーゼル機関車DD51。さすがに現在は活躍を見る事もわずかとなりました。2017年夏には、愛知機関区で活躍していた853号機が休車となり、これをもって定期列車を引く国鉄色はついに見る事ができなくなりました。

今回は数ある中から852号機の記録を紹介したいと思います。少し長文になりますが見ていただけるのであればお付き合いください。

私が初めて852号機に出会ったのは1996年、早朝の厚狭駅(山口県山陽本線)でした。後ろに黒々と重々しい貨車(セキ8000)を従えてスタンバイする姿は、武骨で近寄りがたい存在感だったのを思い出します。


1996年8月 山陽本線 厚狭駅
左は850号機、右が852号機

852号機は1972年の新製配置から2009年に至るまで、実に37年も長きにわたり厚狭機関区(後の幡生機関区厚狭派出所)に所属していました。美祢で産出される石灰石を沿岸に輸送する任務をメインに、ひたすらこの地で働き続けた地味な存在で、注目を浴びることもなかったと思います。
2008年に美祢線に訪れた時も、変わらない姿で活躍していたのはうれしい事でした。まさに厚狭に根付いた生え抜きの機関車でした。


2008年7月 美祢線 湯ノ峠〜厚保
フライアッシュ輸送
先頭は852号機


2008年7月 美祢線
重安からホキを連ね、石灰石を輸送

しかしその翌年、重安~宇部港の石灰石輸送が終焉を迎えることになり、厚狭のDD51も火力発電所へのフライアッシュ輸送など、極わずかな任務だけが残され、大半の機関車はこの世を去る運命かと思われました。

しかし2011年3月11日、東北大震災が発生。特に太平洋側沿岸部の津波被害はあまりにも悲しい出来事であったことは記憶に新しい事です。この震災がこの機関車のターニングポイントとなるとは誰も予想できなかったでしょう。震災直後、沿岸部が壊滅状態であったため、東北地方は深刻な燃料不足に陥りました。沿岸が壊滅状態になった、ということは燃料を備蓄していた施設の多くは使用不可能、他の地域から輸送しようにも船舶輸送は不可能。こういった状況から、政府は燃料輸送が迅速かつ大量に行える手段として貨物列車輸送を選択し、JR貨物に依頼したと言われています。JR貨物は線路保有しているJR東日本と協力し、北東北へは横浜根岸から日本海側を使い、青森を経由して輸送するルート、南東北へは同じく横浜根岸から日本海側の新潟を経由して磐越西線で福島県郡山に輸送するルートを検討し、震災からたった1、2週間という驚異的な速さで開通させています。この中で、南東北ルートであった磐越西線が非電化部分があったため、輸送する機関車にはDD51を充当することになり、全国から余剰機関車が新潟に一斉集合することとなりました。集められたのは全部で8両。後に加わった1両を入れると9両で、北は北海道から、南は門司までだったようですが、852号機は奇しくもその1両に選ばれ、1番列車という大役まで果たしたようです。
余命幾ばくも無い昭和の機関車。ここに来て東北の燃料危機を救う事に貢献したことは、感慨深いものがあります。

東北緊急燃料輸送は、東北本線が開通する4月まで行われ、852号機もきっちり役目を果たしたようです。
集まって来た機関車達は、これが最後の任務になる車両もありましたが、852号機はその後愛知の稲沢に引き取られ、更なる活躍を見せる事になります。
今度は中部地区。しかも輸送するのは奇しくも燃料輸送が含まれてました。


塩浜貨物駅

他に、紀勢本線の鵜殿にある紀州製紙の貨物輸送も行われました。
しかし程なくして2013年春、紀勢本線の貨物は終焉を迎える事になります。852号機は、この貨物列車の最終便という大役も務めたようです。




2013年2月 紀勢本線 鵜殿


2013年2月 紀勢本線 新鹿
先頭は852号機


2013年2月 紀勢本線 阿田和〜紀伊井田

その後852号機は四日市周辺の貨物輸送に従事し、2016年5月に使命を全うし、この世を去りました。




2013年12月 四日市〜塩浜

厚狭の主だった地味な存在。それが平成になり、裏方ながらも地味に素晴らしい活躍を見せたことは、長年面倒を見て使われた現場の方々も嬉しいことだったのではないかと思います。
特に東北大震災の燃料輸送の物語は、実話がそのまま絵本になり、密かに話題を呼んでいますが、その主役、表紙を飾ったのは、言うまでもなく1番列車を務め上げた852号機と759号機です。

車両はいわば単なる機械であり、人が動かさなければ、何の意味も持たないのかもしれません。しかし人が動かすからこそ、そこに人々の想いが込められて、魂が宿るようにも感じます。852号機も厚狭機関区で丹精込めて使われて来たからこそ、その後の活躍があったのかな、と。

一方、私も20年に渡って色々な場所で出会えた事に、何か縁深いものを感じるとともに、この機関車から色々な想いを受け取れたことに感謝しています。

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平成のスタンダード

今回は、あまりにもありふれたEF210について触れてみます。
先に紹介しましたEF66、国鉄時代は最強でしたが、平成になるととにかくパワー重視のEF200が登場。1300トンから1600トンの牽引に挑戦するものだったようですが、変電所の設備問題、旅客会社との折り合いを筆頭に云々の問題でご破算になり、結局フルパワーを封印しているのは有名なお話ですね。それにかわって登場したEF210が今や平成のスタンダード。最大出力がEF66よりも低いにもかかわらず、トータルではEF66と同等かそれ以上という、地味ながらとんでもない革新を起こした機関車だと思います。技術的な細かい内容まで触れると、私自身あやふやなところだらけなので割愛しますが、簡単に書くと、最小限の出力で、動き出し、高速域、勾配走行に至るまで、EF66と遜色ない働きを実現できる工夫が盛り込まれた、という事でしょう。
いわば昭和の直流スタンダードはEF65でありましたが、平成スタンダードはまさにEF210。後に交直流用として生まれたef510の駆動系統もef210と基本同じであるため、これはEF65とその基本設計がほぼ同じEF81の関係に似ていますね。

写真は最近話題の福山エクスプレスです。コンテナもここまで揃うと爽快です。

新しいカメラ

発売されて3年経ち、随分価格が買いやすくなったキャノンの7D IIを、先日購入しました。
最近はほとんど遠出できないため、地元の貨物を掲載します。
国鉄時代、F級機関車では世界最強と言われたEF66。乗務員クーラーのキセが載ってるとはいえ、原型に近いのはもはやこの1両だけのようですね。
ブルトレを引っ張っていた頃が懐かしいです。


東海道本線 西宮

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山陽筋 貨物ライン

最近、少し鉄道撮影行脚はお休みしておりますが、
わずかな合間を狙って地元阪神間の貨物列車などは撮影したりしています。

いまや”機関車”で牽引する列車と言えば、
そのほとんどがコンテナ輸送貨物列車になりましたが、
これはこれで、地味ながら魅力がありますね。

写真は超お手軽撮影ができる東海道本線 元町~神戸より。



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夏本番 ご無沙汰しております

ご無沙汰しております。
すっかり投稿から遠のいておりました。

年末に整理した今年の達成すべきことを着々とこなしていたら、
いつの間にか夏になってました。

今年は時々やってくる人生の転換期で、
ずっとバタバタしております。
しばらくは撮影もお休みするかもしれません。

写真は昨年夏の山陰本線竹野~佐津
切浜を横目にエキゾーストをたてるキハがたまりません。
このカットで、キハ58も撮ってみたかった・・・
今年は、ここをトワイライト瑞風も走っているのでしょうね。
私個人としては、キハのユニットサッシから眺める暑苦しい山陰の夏が好きで、
また行きたいと思う今日このごろです。

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プロフィール

かすが

Author:かすが
平凡な社会人です。
1980年生まれ。
現在は兵庫県西宮市在住。
生まれつきの鉄道好き。
乗り鉄、切符、模型、写真・・・
幅が再現なく広がってゆき、
現在は 写真 の魅力に。

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